鼈甲の理容櫛

こないだマエタさんと呑んでて話になった「理容の仕事は左手でする」という先人からの教え。

べっ甲の効能効果は語りだしたらきりがないけど、まず素材的に夏は涼しく冬は暖かく感じるという細やかな心遣いができる事。そして何度も優しく梳かすことで頭皮の血行を善くしたり神経をリラックスさせてマッサージのように疲れをとってくれる働きがあります。
顔剃りにおいては剃刀をそっと肌において優しく左手で皮膚をひっぱってみてはどうだろう?

おそらく多くの理美容師がカットはハサミやバリカンで、シェービングはレザーや刃物で仕事をしスピードやテクニックを競いあっているが、今一度カットはコームでシェービングは添えた手でやってみては如何なものでしょうか。

イギリス製のバジャー

髭ブラシではなく正式にはバジャーと言います。
バーバーヒグチ開業時に用意したトゥルフィト&ヒルのバジャーも9年目を迎えさすがに毛量は減ったものの使い込んだだけあって最高に気持ちのいいラザーリングが出来るのが自慢の一本。
こちらは2代目シンプソンのバジャー。
ロンドンのTaylor of Old Bond Streetを訪れた際に「私の手にしっくり馴染んで我々アジア系のデリケートな肌にも優しいのはどれ?」って店の人に尋ねて薦めてもらった思い出の一品。
名前をデュークと言います。
そのシンプソンの中でも特に貴重で珍しいこちらのタイプはイソップとのダブルネーム。
左がトラベル用で毛がボディーの中に収納出来るようになっていてサイズ感が小顔の日本人にはちょうど良かったので結構使いました。右は超ビッグサイズでこちらは鑑賞用アーカイヴですね。
今では若い人達に大人気のブランドだけどきちんと本当にいいものを作ってた初期の心意気の方が好きです。

フェザーの剃刀

先日テレビ撮影の一日目が無事に終わりました。やはりマスメディアの仕事は大変ですw

さて今回は愛用のレザーの中でも特に思い入れがあり日本人の肌に合った繊細で快適なシェービングを可能にしてくれるスペシャルな道具をご紹介。
中央にある「彩光」はステンレス鋼の表面に窒化チタンをイオンプレーティング加工でコーティングしたもので極めて高い硬度と耐摩耗性そして優れた耐熱性を併せ持つフェザープロフェッショナルの中でも特別な仕様。
シェービングは一本一本の髭の生え癖を読みながら的確な刃角でいかにこのヘッドの重さだけで肌の上を滑らせるかがとても大事です。
そして肌に直接触れる道具の保管や消毒はしっかりと…
ご家庭ではエタノール消毒液で刃を拭き取るだけでもトラブルが随分軽減されると思います。

これを手に取る度に米倉さんやロンドンのグルーミンググッズの店主を思い出す。

猪毛のブラシ、豚毛のブラシ

美容師としてキャリアを積めば積むほどにつくづくブラシっていうのは本当に大事だなと…
どんなハイスペックなドライヤーや高価なトリートメントよりもまずはこれが必要。上の猪毛は愛葵さん、下の豚毛は 江戸屋さんのでどちらも老舗ブランドによる本物の逸品。
こちらは長年使い込んだ平野さんの猪毛ブラシと英国のメイソンピアソン。
私はブローブラシとしても使用するので摩耗も激しく持ち手のロゴも消えかけていますがなんとも言えない使い心地と愛着のわく一本に。最初は硬くて痛いけどまるで自分の人生のように時間をかけてじっくりエイジングを楽しみたい。
ハンドルは美しい天然木目の高級工芸材黒壇♡

つげの櫛

きっかけは子供の髪を梳かした時の静電気と、ある方の使い込まれた道具に魅せられた事でした。これらは今年最初の買い物。今一度自分が使っている仕事道具を見直し本当に良い物をきちんと使いそして育んで行く。私達日本人に合った本物を少しずつ丁寧にご紹介していければと思います。

十三やさんの散髪櫛はカットコームや仕上げの艶出しとして手付き櫛は眉のカットや裾周りの細かい作業の時に使っております。手入れは月に一度良質なつばき油をしっかり漬け込むことで汚れにくく使う程に褐色の光沢が深くなり櫛の強度を増します。まさに自分だけの一生の宝物。

discription

新春、まずは筆を執り…
多くの人達に文字を使って簡潔に物事を伝える。
日本語ってほんと難しい。

MONMOUTH COFFEE

これが今年最後のjournalになるかなぁ…

一応仕事柄こういった書物は拝読するんだけど、いつも最後に思うのはこの著者の人達に私のシェービングを一度受けてみてほしいという事。もしかするとコンテンツが増えたり少なくともシェービングに関する説明や紹介の仕方が変わるんじゃないかな?みんな自分の経験知で色々書くんだろうけど、どんな物事であれ誰が何を用いてどういった手法で施術するかで価値の見い出し方が変わってくると思う。まだまだ私達の努力が足りないけどいつかちゃんと伝えて欲しいな理容のこと。

さて、イギリスからのお土産モンマスを戴くとしよう。

re-start

出張先でのお約束ランドスケープは少し早起きして某展望台からの眺め。
今回の訪問先ではアロマ製法の高い技術とオイルが放つ本来の自然な香りに触れ、如何に自分の嗅覚が人工的な物に慣らされているかに気づかされた。
それにしても愛用している海外のスキンオイルに刺激を感じないかと問われたのはショックだったなぁ
持って行った香りのサンプルも人工香料が含まれていて、それがいわゆる「いい香り」を持続させていたのだという…
その晩、地元の名産串焼き5種を飛露喜で流し込んだら
よし!新たな気持ちで挑戦してやろうと心に決めた。

no time to die

少々マニアックな話をするとマドレーヌの診察室にあった赤い花はカジノロワイヤルでボンドがマティーニに盛られて死にかけたジキタリスという猛毒を持った花である…
多くの愛と勇気に、今夜はボランジェで乾杯です!

ROOTS

ある方の言葉がきっかけで床屋や理容の起源を改めて調べてみる。
確かに采女亮が下関で髪結いを始める前に京都北面の武士である先祖藤原晴基が髪結職の始まりを作ったと言っても過言ではないよなぁ…
ところで鎌倉時代にはじまる床屋の歴史を今日に伝承する象徴的な神社が京都にあるってご存じですか?