光のシザーズ

気がつけばもう30年以上使い続けているヒカリの鋏。刈り込みから仕上げさらにはドライやストロークカットまでこなすオールラウンドプレーヤー。大振りでありながらしっくり手に馴染むこの形と重量感は正に熟練した職人による手造りだからこその造形美。
そして何といっても一番は切れ味と耐久性。いつまでも長切れしてくれる理由は蛤状にアールのついた刃付けだからこそ可能にし、切り口の断面も美しいので髪が傷みにくく枝毛や切れ毛を軽減するカットが施せます。

「まず初めにいい鋏を買いなさい」と修行先の先生や先輩に言われ当時何十万もかけ店から借金をしてまでも買ったこの鋏達が今でも私の人生を支えてくれている。あの時のお言葉に感謝です 。

泉州と今治のフェイスタオル

うむ、どちらも甲乙つけがたい。
そんな日本には100年以上も歴史を持つこんなに柔らかくて気持ちいいタオルがある。
そう、世界に誇れる日本のモノづくり。
今そしてこれからは全てのジャンルでより一層この基準が求められると思うし、何も高いお金を出してわざわざ海外のブランドを買う必要はもはや無い。
私達はまずこれらの良質なタオルを首に巻くところから仕事を始めます。

水牛角のコーム

さて問題ですw
髭をトリミングする際に使いやすく肌のアタリが最高に気持ちのいいコームはどれでしょう?

その昔中国では解熱や解毒の為の漢方薬としても用いられたそうです。また「かっさ」という伝統的な自然療法で毛細血管の拡張・汗腺分泌や血液循環の正常化・血圧低下などの効果があり長期間続けていく事で、疲労解消や免疫力の増加などの効果が期待できるとのこと。素材的に動物性のたんぱく質から出来ているのでオイルやクリーム等の油分とも相性が良いのも頷ける。
あと日本では静電気が起きにくい櫛として「柘植(つげ)の櫛」が有名ですが、この水牛角の櫛は柘植櫛より更に静電気が起きにくいというから驚きです。唯一親から譲り受けた天洋のコームやミリ単位の仕上げ櫛として私の仕事には欠かせない大切な道具のひとつです。

探求の旅

月桂を一杯やりながらこれを書いています。
山の恵みに、
海の幸。
日本にはまだまだ知り得ない良い物がいっぱいあるなぁ…

サンタマリアノヴェッラのシェービングクリーム

正に映画のワンシーン。こっくりとしたクリームで髭を包み込んだら慎重にレザーを入れていく…
夏のシェービングは断然これ。剃った後アフターケアが必要ないぐらい滑らかでイタリアの匂いとラテン好みのひんやりとした爽快感が肌にじわっと残ります。

…なんだけど、もうこれが使えなくなります。買えなくなります。
残念ながら本国での製造が中止になったようです。
京都店で告知を受けた時はショックだったけど、バーバーヒグチの為にと最後のひとつをバックヤードから出してきて頂いた時には感動したなぁ。

なくなり次第もう二度と体感出来ませんのでご希望の方はシェービングの前に「サンタマリアノヴェッラで」と一声掛けて下さい。ノンアルコールのエマルンジョンやフェイストニックは引き続きマストです。

BARBER HIGUCHIのプレシェーブオイル

「あなたの肌を守りたい」
このコピーはボツになったけどwほんと今回はそんな思いでじっくり時間を掛け丁寧に作り上げました。
思い返せばどうしても 香りに納得がいかずサンプルを作り直してもらった事で精油の配合が変わり、偶然にもオイル自体に重さが加わったことで他にはない絶妙な濃度の触感に仕上がったこと。
ボトルやパッケージデザインも海外の香水や化粧品に負けないよう一切妥協せず京都にあるブランドを中心にMADE IN JAPANにこだわりぬいた事で、プロダクトの醍醐味というべき遊び心や手作り感が商品価値としての奥行きを増し本当に見事なまでの完成度の高さとなった。
お陰様で志の高い同業者の方々にもご好評頂いてるのが何より嬉しい。

最後にjournalページファンの皆様だけにこっそりこのオイル使いの裏技を…
洗顔前にTゾーンを中心にまずこれを塗布して軽くマッサージをし乳化することで皮脂の汚れや毛穴の黒ずみを除去します。またおやすみ前に肘、膝、踵やくるぶし等の皮膚が硬くなった部分を軟らかくしたり、爪の強化と成長を促すネイルオイルとしてもお薦めです。私も営業でこれを使ってシェービングをするようになってからその日の晩の手指のもちもちプルプル感が本当に凄いなと実感しております。

鼈甲の理容櫛

こないだマエタさんと呑んでて話になった「理容の仕事は左手でする」という先人からの教え。

べっ甲の効能効果は語りだしたらきりがないけど、まず素材的に夏は涼しく冬は暖かく感じるという細やかな心遣いができる事。そして何度も優しく梳かすことで頭皮の血行を善くしたり神経をリラックスさせてマッサージのように疲れをとってくれる働きがあります。
顔剃りにおいては剃刀をそっと肌において優しく左手で皮膚をひっぱってみてはどうだろう?

おそらく多くの理美容師がカットはハサミやバリカンで、シェービングはレザーや刃物で仕事をしスピードやテクニックを競いあっているが、今一度カットはコームでシェービングは添えた手でやってみては如何なものでしょうか。

イギリス製のバジャー

髭ブラシではなく正式にはバジャーと言います。
バーバーヒグチ開業時に用意したトゥルフィト&ヒルのバジャーも9年目を迎えさすがに毛量は減ったものの使い込んだだけあって最高に気持ちのいいラザーリングが出来るのが自慢の一本。
こちらは2代目シンプソンのバジャー。
ロンドンのTaylor of Old Bond Streetを訪れた際に「私の手にしっくり馴染んで我々アジア系のデリケートな肌にも優しいのはどれ?」って店の人に尋ねて薦めてもらった思い出の一品。
名前をデュークと言います。
そのシンプソンの中でも特に貴重で珍しいこちらのタイプはイソップとのダブルネーム。
左がトラベル用で毛がボディーの中に収納出来るようになっていてサイズ感が小顔の日本人にはちょうど良かったので結構使いました。右は超ビッグサイズでこちらは鑑賞用アーカイヴですね。
今では若い人達に大人気のブランドだけどきちんと本当にいいものを作ってた初期の心意気の方が好きです。

フェザーの剃刀

先日テレビ撮影の一日目が無事に終わりました。やはりマスメディアの仕事は大変ですw

さて今回は愛用のレザーの中でも特に思い入れがあり日本人の肌に合った繊細で快適なシェービングを可能にしてくれるスペシャルな道具をご紹介。
中央にある「彩光」はステンレス鋼の表面に窒化チタンをイオンプレーティング加工でコーティングしたもので極めて高い硬度と耐摩耗性そして優れた耐熱性を併せ持つフェザープロフェッショナルの中でも特別な仕様。
シェービングは一本一本の髭の生え癖を読みながら的確な刃角でいかにこのヘッドの重さだけで肌の上を滑らせるかがとても大事です。
そして肌に直接触れる道具の保管や消毒はしっかりと…
ご家庭ではエタノール消毒液で刃を拭き取るだけでもトラブルが随分軽減されると思います。

これを手に取る度に米倉さんやロンドンのグルーミンググッズの店主を思い出す。

猪毛のブラシ、豚毛のブラシ

美容師としてキャリアを積めば積むほどにつくづくブラシっていうのは本当に大事だなと…
どんなハイスペックなドライヤーや高価なトリートメントよりもまずはこれが必要。上の猪毛は愛葵さん、下の豚毛は 江戸屋さんのでどちらも老舗ブランドによる本物の逸品。
こちらは長年使い込んだ平野さんの猪毛ブラシと英国のメイソンピアソン。
私はブローブラシとしても使用するので摩耗も激しく持ち手のロゴも消えかけていますがなんとも言えない使い心地と愛着のわく一本に。最初は硬くて痛いけどまるで自分の人生のように時間をかけてじっくりエイジングを楽しみたい。
ハンドルは美しい天然木目の高級工芸材黒壇♡